臨機応変に行動できない若手社員に困っています。どうすればこちらの期待どおりの行動をしてくれるようになりますか?

質問内容

いちいち細かいことを確認してくる若手社員。

もっと臨機応変に動けないのかと歯がゆくなります。

どうしたら臨機応変に動いてくれるようになるのでしょうか?

回答

この質問について、あなたはどのようにお考えになりますか?

「臨機応変に行動できる社員」

経営者の方が社員に臨むこととして、出てくる一つです。

今回は、私が経験した「臨機応変に行動できない」若手社員、それも新入社員だろう人たちについてのお話をしてみます。

以前出張の際に、仕事が終わってからせっかくだからと一日延泊し、宿泊場所を夏本番前のリゾートホテルにしたときのことでした。

観光地としては有名どころではない地方都市ですが、ホテルの評判は悪くはない中堅どころです。

ホテルのスタッフの皆さんは、テキパキ仕事をこなすベテランさんと、新入社員だろうなという皆さん。

新入社員の皆さんは入社2か月ぐらいのころ。

たぶん、地元の高校を卒業して就職したのでしょう。

あまり慣れていません、人にも仕事にも。

初々しい様子です。

その方を含め、2人の新入社員の方が、ホテルの入り口で、出迎えてくれましたが、ちょっと残念でした。

もちろん、仕事に慣れていない時期でしょうが、せめて、笑顔で元気に「いらっしゃいませ!」って言ってもらえるとよかったです。

「いらっしゃいませ」と、言ったか言わないかのような、か細い声。

私のちょっとした質問にも、「あ・・・」といったままフリーズ。

お客様の荷物を持つでもなく、フロントにご案内するでもなく・・・

ご案内なのに、お客様の後ろからついてくる感じ?!

臨機応変どころか、基本的なご案内もできない様子です。

でもここで私。

『何てこと!教育が十分でないないスタッフをお出迎えに立たせるなんて!』

・・・と、実は思いませんでした。

もちろん、そう言いたい気持ちがなかったわけではありません。

しかしこのときは少し視点が違ったのです。

18歳、これまでの人生で、それほどホテルに宿泊したりサービスを受けたりの経験は多くはないはず。

「経験がなくて、知らないんだな」と思ったのです。

私たちは学習の動物です。

自分が学んだこと、経験したことを通して学習し、身につけることができるもの。

しかしこの新入社員の皆さんには、少なくとも経験はなさそうなふるまいだと感じました。

彼らはきっと、新入社員研修で一通りは教えてもらったでしょう。

そのうえで、あとは現場で先輩の様子を見ながら覚えなさい、ということなんだろうと思います。

会社や先輩からすれば、お客様にいらっしゃいませと言ってお出迎えすることぐらい、できるだろうと思ったのかもしれません。

ここで、こちらのホテルに「勝手にコンサルティング?!」するとしたら・・・という視点で考えてみましょう。

まず、臨機応変に行動できる社員に必要なものはなんでしょうか。

  1. 業務知識
  2. スキル
  3. 経験

などなど、ほかにもたくさんあるでしょうが、この3つは必要です。

1.業務知識、2.スキルは、教育(主にOFF-JT教育)によって、ある程度培うことができますが、3.経験は残念ながら教育で補いにくいものです。

私は常日頃から新入社員には、基本的なOFF-JT教育が終わったら、マンツーマンで先輩をつけて指導するのが望ましいと考えています。

そのため、人材育成のコンサルティングのプログラムのひとつ、「ブラザーシスター制度」の導入をおすすめしています。

「ブラザーシスター制度」を導入すれば、経験を吸収することが可能だからです。

こちらのホテルでしたら、新入社員だけで組んで仕事をさせるのではなく、先輩と組んで仕事をさせると、先輩の経験をいくつか吸収することもできるでしょう。

そして、先輩の様子を見ながら覚えなさいと指示をするなら、「何を見るのか」「どのように見るのか」を、事前に教えておくのがとても重要です。

「見て覚えなさい」という指示だけでは、新入社員は育ち育ちにくいものです。

以下の項目を事前に先輩方が決め、実行→検証→改善という流れを作ります。

  • いつ指導するのか
  • 誰が指導するのか
  • 何を指導するのか
  • どのように指導するのか
  • どの順番で指導するのか
  • いつまでに指導するのか
  • どのようになるまで指導するのか

ひとつ例をあげていきます。

最初は、ホテル玄関に立って、お客様をお出迎えする仕事だけを徹底的にできるようにします。

笑顔で大きな声であいさつすることが、新入社員の一番の仕事だと教えます。

たとえ、ほかの業務が何もできなくても、それが誰よりも素晴らしくできたら、それは立派な仕事だと伝えておくのです。

「笑顔で大きな声であいさつ」ができるようになったら、次は「ご宿泊でいらっしゃいますか?」とお尋ねし、名前をお聞きする。

荷物をお持ちして、フロントへご案内する、ということを教え、できるようになってもらうと思います。

これだけのことですが、笑顔でスムーズにできるようになったら新入社員にとってはきっと自信につながりますし、
おそらく何人かのお客様に褒められる体験をするでしょう。

こうして学習しながら、お客様に喜ばれることの喜びを知り、働く意欲につながっていきます。

まとめ

さて、ご質問の「臨機応変に行動できる社員になってもらうには?」のまとめです。

もうお分かりだと思いますが、最初から臨機応変に行動できる社員はいません。

多くの場合は「こういう時にはこうするといいな」と、経験で臨機応変さを身につけていくものです。

そして、臨機応変さを身につけた社員に育ってもらうためには、事前に、知識やスキルを身につけてもらう教育が必要です。

乏しい経験を先輩と一緒に仕事をすることで補ってもらい、そのためには、先輩がどのように教育するのかを事前に教えておくことも必要ということですね。

臨機応変さは、こうした仕組みや基本的な行動を徹底することの、その先にできるようになるもの。

教育はこんな地道なことの繰り返しです。

あなたの会社では「臨機応変に行動できる社員」を育てる仕組みになっていますか?

見なおしてみてくださいね。

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