行動の「軸」を持つ
過日、介護施設の開業前研修を担当させていただきました。
スタッフの皆さんは、ホスピタリティあふれる施設にするために、
研修を受講したり、開業の準備をしたりと毎日がんばり、
内覧会の日をむかえました。
あいにくの雨模様でしたが、地域の方々や、
お取引の方、また、同じ仕事をなさっている方々などに
ご見学いただきました。
スタッフの皆さんは笑顔の応対です。
後日、内覧会の反省を踏まえて、さらにブラッシュアップするために、
フォローアップ研修を実施したときのこと。
こんな意見が出ました。
エレベーター前で見学の方をお見送りするときに、
ドアがしまって、お姿が見えなくなるまでお辞儀をしていたら、
近くにいらっしゃったご見学の方が、
「なにもそこまで丁寧にしなくてもね~」
と、おっしゃっているのがちょっと聞こえたので、
その後、どこまでしたらよいのか迷ってしまった・・・
・・・というものです。
さて、あなたならこの質問にどのように答えますか?
「確かにそこまで丁寧にしなくても・・・」
「別に丁寧でいいんじゃない?」
「あまり丁寧にされると居心地が悪いわ」
「丁寧にしてもらうと、気持ちいいわね」
・・・とご意見は分かれるところでしょう。
私の答えは、
「いいんです、姿が見えなくなるまでお辞儀をしていて。
決めたとおり信じて行動しましょう。」
つまり。
どのように行動しようと、必ずご意見はあるのですから、
「これだ!」と決めたとおりに行動すればいい、ということです。
もしも、それがどうしても居心地が悪いのであれば、
お客様は別の施設をお選びになるでしょう。
それはそれで仕方がないこと。
無理をして選んでいただいても、やがてそれがストレスになることもあります。
サービス業はお客様に選択権があります。
だからこそ、ほんとに必要な方に、好んで選んでいただけるように、
「私どものサービスはこれです!!」と、
しっかり発信することが大切です。
一番の問題は応対者が迷うこと。
「丁寧すぎる」といわれて、応対を少し崩してみたり、
「親しくしすぎる」といわれたから「丁寧にしてみたり」と、
あっちにフラフラ、こっちにフラフラという、
「軸がない状態」
が一番問題なのです。
これは個人のスキルの問題だけではありません。
組織として、どのようにもてなしていくかの方針を決めるということが第一です。
スキルはその方針の下で磨かれるもの。
残念ですが、方針がしっかり決まっていなくて、
スキルを磨くことに注力している組織が少なくないと感じます。
そして、「軸がない状態」を個人のスキルに頼ってカバーしようとするのでは
うまくいきません。
私の仕事は、この「軸をそろえる仕事」のお手伝いであるといえます。
そしてこんなこともお伝えしました。
「丁寧にされていやだと思う人は少ない。
だから、迷ったら、丁寧な方法を選択しておくほうが
お客様にとってうれしいだろうと予測される。
だから、丁寧に応対しましょう」
日ごろ丁寧な応対ができていないと、つい言い訳をしてしまいます。
「お客様はそこまではのぞんでいない」
「そんなに丁寧にされたら、お客様が恐縮してしまう・・・」
などなど。
本当にそうでしょうか?
23年間のたくさんの研修の実習の中で、
こうした言い訳をたくさん聞いてきました。
でも!
ひとつ言えることは、
スキルのある人は言い訳をしない
ということ。
なぜなら、言い訳しなくても、
お客様がのぞむようにその場で柔軟に変えることができるからです。
丁寧に応対しなければならない場面と、少しくずしたほうがいい場面。
丁寧に応対してほしいと思っている人と、
少しフレンドリーに接してほしいと思っている人。
相手がのぞんでいるように変えることができるのは、
両方できて初めて成り立つこと。
スキルのない人は柔軟に変えていくことはできません。
丁寧な応対をするスキルを持っている人は、
柔軟に変えていくことができますが、
それを持っていない人は、「フレンドリーにしている」という
選択しかないからです。
ただそれは、くずれているだけ。
この違いは大きいのです。
軸を持ちましょう。
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