「メモ代わりにスマホで録音してはダメなんですか?」と聞かれたとき、どのように指導したらいいか迷っています
質問内容
新入社員に、お客様とのやり取りをメモするように指示をしたら、スマホに録音し始めたので、慌てて止めました。
会社に戻って「録音はいけない」と注意したところ、「どうしていけないのですか?」と言われました。
どのように指導したらいいでしょうか。
回答
この質問について、あなたはどのようにお考えになりますか?
先輩や上司にとっては『そんなこと当たり前だろう』と思うようなことに対して
「なぜいけないのですか?」と言われると、説明しにくく、言葉に詰まってしまうこと、ありますよね。
では、指導方法をご提案いたします。
1.なぜ録音を禁止しているのか伝える
仕事上のやり取りは、学生時代と違って、録音・録画・写真撮影を勝手にすることはできない。
それが大前提のビジネスマナーだということを教えましょう。
「当たり前」で済ませず、双方の企業の機密情報や個人情報の漏洩の観点から、 無断で録音・録画してはいけないということを、きちんと伝える必要があります。
2.メモをとる目的について、事前に教育する
なぜ、メモを取ることが大切なのか、それは録音ではいけないのか(上述の理由以外に)について、あらかじめ教えておきましょう。
①メモを取るのは、重要なことを忘れないようにするためです
また人間は忘れる動物ですから、すべてのことを覚えていることはできません。
メモすることで、忘れてもいつでもそのメモを見て思い出せるようにしておけば、すべてを覚えている必要はないのです。
メモを取ることの目的のひとつは「振り返りができる」ということです。
また、上司や先輩から「振り返り」を要求されることもあります。
例えば、「先ほどのお客様のお話の中で、〇〇の件は、いつまでとおっしゃていましたか?」
あるいは「お客様の〇〇というお話を聞きして、あなたはどのようにこの案件を進めたらいいと思いますか」など。
こうしたことに答えるのに、録音をすべて聞き直してから答える時間はありません。
やはり手書きのメモが一番です。
②メモを手書きで行うことのメリットを教える
正確に振り返ることが目的ならば、メモよりももしかすると録音しておくことのほうが役に立つかもしれません。
しかし、やはり録音でなく手書きのメモでなければならない理由があります。
その大きなメリットは、書きながら、自分の言葉でまとめ、その過程で、自分の思考を整理できるということです。
一字一句すべてをメモすることはできませんから、メモを取る瞬間に私たちは、聞いたことを自分の言葉で言い換えているのです。
その過程を通して、私たちは頭の中を整理しています。
また「スマートフォンに入力することはいいのですか?」と聞かれることもあるでしょう。
これもNGです。
訪問先によっては、セキュリティの厳しい会社もあります。
つまり、受付でスマートフォンを預けなければならない場合もあるということです。
知らずにこうした会社を訪問して、スマホに入力すればいいと思っていると、メモを取る準備がなく慌てることにもなりかねません。
「スマートフォンに入力してメモする」こともNGと考えておくほうがいいでしょう。
3.メモを取る行為は、相手を大切にしていることを態度で示していると伝える
人の話を聞くときにメモを取る行為は「相手を大切にしていることを態度で示している」ということを教えます。
メモを取っている姿を見ると、話し手は、「自分の話を、きちんと聞いていてくれている」とわかり、嬉しかったり、安心したりします。
メモをしなくても、どんなに自分の記憶力に自信があったとしても、
目の前に自分の話を一生懸命にメモを取りながら聞いてくれる人と、メモを取らずに記憶しようとしている人とがいたら、
相手はおそらくメモを取っている人に好意を持ち信頼を寄せるはずだからです。
まとめ
いかがでしょうか。
新入社員を同行してお客様を訪問する前には、ぜひこうした教育をなさってください。
メモととる行為は、「相手を大切にしている」気持ちの表れだということであり、相手への思いやり、マナーでもあるとご指導いただきたいのです。
自分のためにだけメモをするのであれば、それはメモをしてもしなくても、手書きだろうと録音だろうとかまわないでしょう。
しかしそこに相手がいる以上、相手がどう思うかを考えて行動することがマナーです。
メモを取らなければ、相手に「この人は自分の話に耳を傾けてないのではないか」と思われてしまいます。
たとえしっかり聞いていたとしても、相手にそう思われたのでは残念です。
メモをしている行為は「大切なあなたの話にしっかり耳を傾けています」と、暗に表現していることを、しっかり教えておきたいものです。
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